Rina Ito - Alemannia Aachen - FuPa

プロ選手の海外移籍とアマチュア選手のサッカー留学では、移籍金や給料、スポンサー等の金銭面以前に大きな違いがあります。それは、海外先での所属チームが決まっているか。決まっていないか。です。

サッカー留学を検討されている皆さんが不安に思われている、留学しても所属チームが決まるのか。これに関しては、正直、レベルを落とせばいくらでも可能性はあると思います。しかし、海外挑戦をする以上、それなりのレベルでプレーしたいと誰しもが思うはずです。

そこで今回は、私の経験を元にドイツに到着してから現在のチームに所属するまでの流れとトライアウトで意識していたことをお伝えします。

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ドイツのチームが決まるまで(ドイツ到着からトライアウト)

ドイツ到着

ドイツに到着し、留学会社( Soccer Life )の方にデュッセルドルフ空港まで車で迎えに来てもらい、留学会社( Soccer Life )が所有している寮に向かいました。

時差ボケや長い移動の疲れもあり、コンディションを整えるためにも1週間ほど時間をおいてチームの練習に参加する予定でしたが、到着して2日後の練習参加に来て欲しいという連絡を受け、急遽ではありましたが練習に参加しました。

フィジカルの壁

初めてチームに合流した時は、練習に入る前は「自分のプレーを出せるように、ゴールを決めてアピールしよう」「チームメイトはどんなプレーをするんだろう」と緊張よりもワクワクや期待の方が大きかったです。

しかし初日の練習で行われたゲームで、早速、海外でプレーする難しさに直面します。ドイツ人のボディコンタクトの強さやタイミング、足のリーチの長さに翻弄されボールロストの回数がとても多く、思ったようにプレーすることができずにいました。
日本人と対峙している感覚でプレーをすると、上手くいかないことが多く課題の残るトレーニングだったことを覚えいています。

幸いにも、練習後に監督から『約2週間、練習参加をした上でトップチームにこのまま残るか、セカンドチームに行くかを判断する。』と話がありました。

過去にも海外の選手とプレーする機会はあったのですが、個人としてチーム練習に参加するのは初めてでした。日本でも小柄な方の私はほとんどの選手が自分より15センチ以上背が高く、体格も良くフィジカルも強い中で今後どうやって自分をアピールするか、『どうしてもトップチームに残りたい。』という思いがあったのでプレー面ではボールを受ける前の準備の部分を改善していくことを意識しました。

チームメイトからは最初年齢を聞かれる事が多かったです。私のチームには10代の選手も多く、23歳と答えるとみんなとても驚いていました。身長や見た目でとても若く見られていたんだと思います。

体格差とパススピードの違い

ドイツ人と日本人のフィジカル面で一目瞭然なのが、体格差だと思います。体格差といっても個人差はありますが、一般的にドイツ人は背が高く170センチ位ある選手がほとんどで、ガッチリしてる選手が多いです。
当たりが強いのももちろんですが、足が長いので日本の感覚でボールキープをしていると予想以上に足が伸びてくるので奪われてしまうこともあります。

シュートの場面でもタイミングが一つ遅れると足の長さと共に寄せも速いのでシュートブロックをされてしまいます。

パススピードも日本ではパスを出す側が気を遣って「味方が受け取りやすいパス」を意識する様に教わることが多いと思います。しかしドイツではそういったことはなく、多少浮いたとしてもスピードが求められます。浮いたパスを受け取れなかった場合、パスミスよりもトラップミスとして見られることが多いです。
近距離のパスでも「速いな…」と思うことがしばしばありました。

寄せのスピード、コンタクトの強さ、伸びてくる足の長さなど…
日本の感覚でやっているとボールを失うことが多くなってしまうと思います。

語学の壁

もちろんプレー面だけに限らず語学も重要になってきます。日本にいる時に全く勉強をしていなかったわけではありませんが、いざプレーをしてみると、不慣れなドイツ語の指示を聞き、頭で理解して判断するまでに時間がかかってしまい、思っていた以上に難しく感じました。

また、サッカーという相手がいて常に状況が変化するスポーツでは、自分の考えを味方に伝えるという点もとても重要になります。プレーが行われている中でとっさに味方に指示をしたりコミュニケーションをとることに関しては今でも難しく感じることがあります。

最初は、チームメイトの言葉を注意深く聞き、分からない単語は調べるようにしました。とにかくプレー中に使われる単語を覚えてから練習に臨み、その単語を使ってみることを意識しました。
少しずつですが、単語を聞いただけでもなんとなく意味を汲み取れるようになり、味方の指示も理解しやすくなりました。

全く言葉が分からず、知識がゼロの状態で練習に参加するのと、少しでも単語を覚えてから練習に挑むのでは、プレーにも差が出てきます。周りの言っていることもなんとなく理解できるので頭がクリアになった状態でプレーすることができるようになりました。

自分の強みを分析し、海外で使ってもらえる選手像を知る

練習を重ねていくにつれて徐々にスピード感にも慣れ、自分のしたいプレーができるようになりました。私自身、何か秀でた特徴のある選手ではないですし、小柄なため、第一印象としてはマイナスからのスタートだと思っていたので、攻守において走れて身体を張ってプレーする『闘える選手』であることをアピールしたいと思い、トレーニングでは常にそこを意識しました。

2週間のうちに監督から連絡をもらい、無事にトップチームに残ることが決まり、ドイツに来て初のキャリアとなるチームが決まりました。

ここが現在私が所属しているチーム(Alemannia Aachen Frauen Fußball)になるのですが、女子のトップチームは女子3部リーグ、セカンドチームは女子4部リーグに所属しています。

私の場合は、1つ目のチームで決まりましたが、もし決まらなかった場合は、セカンドチームに行くか、また別のチームのトライアウト(練習参加)を受けにいきます。チームが決まるまでこれを繰り返していきます。

なかなか決まらない場合や、選手登録期間が迫ってきた時は、カテゴリーを落とした方が良いかもしれません。

まとめ

求められるプレーと言うものはチームによって様々です。

今まで経験した事のない環境で自分のプレーを見つめ直し、自分がどんなプレースタイルで何ができるか。それをどうアピールするか。

きっと言葉が通じ、自分の思っている事が伝えられるのなら話は変わってくるかもしれません。サッカーだけでなく、留学生活において「喋る」という事の重要性。そして、喋れないのならどうやって自分の良さを出していくか客観視することが大事だなと学びました。

『自分の強み』を分析し、存分に出していくことが大切だなと感じました。